アイマークレコーダの歴史
人間の行動を測定する機器のうち、眼球運動の測定ほど数多くの測定方法が考案・改良されてきたテーマはほかにないといわれています。そうしたさまざまな測定方法は、その時代の最先端技術を用い、光学・電子・機械技術の融合によって、常に進化し開発が行われてきました。ナックがこれまで世に送り出してきた、眼球運動にもとづき開発した視覚計測機器の歴史を紹介することで、一貫して視覚計測の発展に取り組んできたナックの姿勢をご理解いただければ幸いです。
1965年
初代アイマークレコーダ(試作機)EMR-I
ナックEMR-Iは、16ミリ小型カメラを頭上に載せるという仰々しいものでした。しかし実用機として、海外からも関心をもたれ大きく新聞に報道されました。このように研究の創世期からこの分野に関り、長年にわたり開発・研究を継続しています。
1966年
アイマークレコーダ EMR-II
EMR-II は、センサー部と記録部をファイバーでつなぐ方式に変更しました。これにより被験者の負担は大幅に軽減されました。スーパーで品物を探す主婦の行動を調べることも可能でした。
1970年
アイマークレコーダ EMR-III
EMR-IIIは、光学系の単純化により軽量化と操作の容易さに重点がおかれました。これにより被験者の負担と操作性が格段に向上しました。 自動車のドライバーの行動を調べることも可能でした。
1975年
アイマークレコーダ EMR-IV
EMR-IVは、装着の安定性に重点がおかれました。これにより測定速度と装着感が格段に向上しました。 作業の分析と視覚の対応を調べることも可能でした。このころから視覚計測が広がり始めました。
1983年
アイマークレコーダ EMR-V
EMR-Vは、これまでの光学式からビデオカメラ方式に一変しました。また、両眼同時計測が可能になりました。これらにより測定速度と操作性が格段に向上しました。VDTの眼球疲労、自動車の視認性、心理学、精神科、スポーツ、工場の検査、デザイン、CGのソフト開発など多様な分野に拡大しました。EMR-Vからは、データ解析が充実されています。
1990年
アイマークレコーダ EMR-600
EMR-600は、サッカードの研究にも対応すべく600Hzのサンプリングを可能としました。これにより特殊な応用も可能になりました。
1993年
アイマークレコーダ EMR-7
EMR-7は、軽量、簡便な操作性を重視し、左右眼単独に測定が行えるよう簡素化がなされました。重量350gの小型軽量化をはかりました。激しい動きに対応できスポーツの分野での応用も可能でした。
1998年
アイマークレコーダ EMR-8
EMR-8は、瞳孔/角膜反射法の採用により、多少ずれても安定した精度で計測できるようになりました。約300gの帽子型ヘッドユニットや半自動キャリブレーション機能など被験者の負担を軽減しました。
2003年
アイマークレコーダ EMR-8B
EMR-8Bでは、パララックス補正機能を追加しました。キャリブレーションした距離よりも離れたところを計測した場合でもアイマークのズレを補正できるようになりました。
簡易型非接触計測や頭部補正など各種オプションが用意されました。
簡易型非接触計測や頭部補正など各種オプションが用意されました。
2005年
EMR-AT VOXER
EMR-AT VOXER
は、モニター画面計測用の完全非接触型アイマークレコーダです。被験者には計測装置の装着は不要です。オートトラッキング機能とオートフォーカス機能を搭載、頭部の位置と眼球運動を自動で捉えることで長時間安定した計測ができるようになりました。
2008年
アイマークレコーダ EMR-9
EMR-9は、自然で自由に動きまわることができるモバイル型アイマークレコーダです。大幅に小型軽量化することで、被験者への重量およびケーブル負担を軽減しました。さらにサンプリング周波数の高速化、リアルタイム軌跡表示、イベント出力機能、操作の簡略化、無線システムと多くの性能・機能を向上しました。
2013年
アイマークレコーダ EMR ACTUS
EMR ACTUSは、キャリブレーションを省略した"CALFREE"技術で、瞬時により自然な計測を実現しました。こどもやハンディキャップを持った方の計測や、大量の被験者を必要とするマーケティング分野の計測などで活躍します。
2022年
アイマークレコーダ EMR-10
アイマークレコーダEMR-10は「モバイル性」と「信頼されるデータ」をコンセプトに小型軽量化したアイトラッキング装置です。被験者に負担をかけず、より自然に、自由に活動しながら計測と無線モニタリングが行えます。